笑ってしまうくらい順調。










だから、涙が出た。
「今日は元気だね」って言われた。
こっそり泣いた。



彼のいちにちめくらい、笑って迎えなきゃってがんばった。
ここに来てくれたんだから、一から始まるんだからって、がんばった。
来てくれて嬉しいって、わたしは味方ですって、何でも言ってくださいって、声で、顔で、体中で伝えた。

がんばるほど、涙が出る。
大切な思い出が、上書きされてゆくのは、なんて恐ろしいんでしょう。
彼が悪い訳ではないくて、これは必要な事だったんです。でも、薄れてゆく悲しみがよけい苦しい。


まだ、整理つかないよ。
苦しいです。悲しいです。
まだ、悪夢にうなされます。
朝起きると、まぶたが重いんです。

はやく、元気にならないと。はやく、勉強はじめないと。はやく、あの方に連絡をしないと。




焦るばっかりで、わたしはまだここにいます。
とっくにひと月たったのに、家にひとりで座っていると猛烈に恐ろしくなります。

ごめんなさい。
ほんとうにごめんなさい。